代表者インタビュー


イントロン 株式会社

代表取締役社長

増子 治樹


~プロフィール~
尊敬する方:世の先輩経営者
好きな場所:自然が豊かな場所
星座:てんびん座
趣味:キャンプ

この職業と関わることになったきっかけは?

大学を卒業後、希望していたスポーツ系の出版社への就職が決まっていたのですが、当時お付き合いさせて頂いていた女性(現在の妻)のお父さんが経営している会社(イントロン)に誘っていただき、悩んだ末にイントロンに入社を決めます。
これは悩みましたよ。私の希望する道とは違いますし、娘の彼氏が入社するなんて、どんな逆風が吹くのだろうと…。相当な覚悟を持っての決断でした。いろんな意味で(笑)

 

入社から現在までの道のり

最初から覚悟はしていましたが、親戚だからといって特別扱いは一切ありません。ごみ処理や店舗への荷物配達などの雑務でも何でも、とにかく与えられた仕事に必死で取り組んでいました。社長はとにかく厳しくて、いつも叱られていましたね。実は、今の経理部長が同期入社なのですが、社会経験が豊富な彼は入社してすぐに経理で大活躍。自分と比較してくやしく思った時期もありました。でも、この下積み時代があったから、現場の社員の気持ちが分かり、今にとてもプラスになっています。
入社から2年間はとにかく目の前の仕事に必死で取り組んでいましたが、平成16年に2つの薬局を同じタイミングで開局しなくてはならず、「手が回らないからお前がやってみろ」ということになりました。店舗の設計やレイアウト、備品の発注から人の教育、薬局独自の開店準備の流れ、特に行政手続きは準備と手順と期限が大切なことを一からしっかりと学びました。この仕事で自分にも自信がつきましたし、少し社長からも認めてもらえたような気がしましたね。その後、新規出店業務を任せてもらえるようになり、次第に財務や人事など幅広く重要な仕事を任せて頂けるようになったのです。
そして、自分の中に親族として社長の後を継がなくてはならないというよりも、逆に「いつまでも社長に甘えていてはだめだ。この会社のかじ取りは自分がやらなければ」と自然に思うようになりました。

 

この事業に対してどのような思いを持っていますか?

私たち調剤薬局は、人の人生で一度は深く関わる、なくてはならない仕事だと自信を持っています。
日本の「国民皆保険制度」は世界に誇れると私は思っているのですが、社会保障の内容を見直さなくては維持できなくなってきているのも事実です。国民皆保険制度の維持は、私たちの産業を維持するうえで欠かせません。
特に医療費に対する補助率(割合)の削減は難しいことから、医療件数(数)を減らす必要があり、予防医療が充実するような変化が求められています。私たち薬局のあり方も「物から人へ」というテーマがあり、ただ薬を売るだけの場所ではなく、薬剤師が正しい知識を与えて再発を防ぐための生活指導をしながら、健康を取り戻すために薬を渡す場所という考えに変わってきています。国民皆保険制度を守っていくためには、調剤薬局が国の方針に沿った運営をしっかりと行うことが大切だと、私は思います。
ただし、国民の健康を維持していく奉仕者としての使命があるのと同時に、私には経営者として会社を守り従業員の生活を守る責任があります。経営を安定させるには一人ひとりの生産性を上げることが重要です。例えば、「かかりつけ薬剤師」として患者様に選んでいただけるようになることで、単価が上がります。「かかりつけ薬剤師」になるためには一定の経験年数が必要であり、患者様に選んでいただくための知識とコミュニケーション能力が必要です。その為の教育には時間を割きますし、何よりも社員が働きやすく、長く勤められる会社を目指して、最重要テーマとして取り組んでいます。

 

現在に至るまでに苦労したことは何ですか?

先代の社長はバリバリの営業マンといった感じの方で、どんなに厳しい条件であっても、開局を求めるお医者様がいれば、出店が現実となるように全力で取り組むような方でした。もちろん、同じ姿勢を自分にも求められるわけです(笑) 親族だから周りの目もあるし、余計に厳しかったんだと思います。
ただ、家庭を持つ身としては辛くもありました。そんな原点があるので、経営者になってからは社員の働き方について工夫をしつづけています。残業時間を減らす取り組みも成果が出ています。仕事と生活のバランスを大事にしてほしい。社員には、きっちり時間内に仕事を終わらせて定時で帰って、いつまでも働き続けて欲しいと思っています。
福利厚生や人事評価制度も色々な改善を試しているのですが、風通しの良い環境のおかげでうまくいかない場合も社員からたくさんの意見が届きます。私も常に現場の経験を忘れないように心掛けているので、ありがたいことですね。

 

仕事をしていて一番大変なことは何ですか?

私には従業員の待遇や福利厚生を大手の企業並みの制度に追いつかせたいという願いがあります。たとえば、長く働いてほしいので60歳を過ぎても働けるような仕組みをつくったり、あるいは逆に若い力を活かせるような評価制度や給与体系を導入して社内に定着させていく。他にも様々な取り組みをしていますが、「人」に関する部分は最優先課題と認識しているので、かなり自分の時間を使うことになります。一番大変なことは、自分の時間の確保ですね!
とはいっても、私にとっては会社を良くしていくなかでの悩みなので、嬉しい悩みなんですけどね(笑)。

 

スタッフにはどういう想いを持っていますか?

私は、この会社で働くことによって社員一人ひとりに幸せになってもらいたいという思いを強く持っています。社員は全員、私自身が面接をするので顔も名前も覚えていますし、ずっと一緒に働きたいと思う方に入社して頂いています。
先代の社長から仕事を引き継いでいく中で私も大切にしてきたのは「いつも現場とともにいる」という意識です。書類を届けに行くとか、設備が壊れたときとか、なにかきっかけさえあればすぐに店舗に出向いてみるようにしています。
こうして店舗を訪問すると、少しだけでもみんなと直接会話できます。はたらく社員の声を私自身が聞くこともできますし、私の感謝の気持ちを伝えることもできる。わずかな時間ですが、それぞれ違う場所でも同じ時間で一緒にはたらいているということが実感できるんです。
時代の流れから仕事はどんどん便利になっていくでしょうが、いつまでも現場に心を留められるように、何らかのかたちで常に関わっていきたいですね。
ほかには特別なことはしていません。取り組まなくても良いくらいの関係が社員同士で築いていけたら一番良いと思っていますので、社内の風通しの良さは残して、何か問題があればすぐにその場で解決に取り組むようにしています。

 

 

 

休みの日は何をしていますか?

最近、キャンプにかなりはまっています。
休みが取れたら、すぐに秩父や群馬・新潟あたりにとんでいきます。今年はお正月に軽井沢に行ってきました。真冬に氷点下のキャンプなんて信じられないでしょう?テントも3種類持っていますし、マキ専用のカマドやダッジオーブンで料理もします。夏は社員とも行きますよ。キャンプ場の隣の海に行ったり、遊園地に行ったりして行動できるのもキャンプのひとつの楽しみなんですよね。
普段の休みの日はスーパー銭湯によく行きます。家族と予定が合わないときは独身のスタッフに声をかけて飲みにいったりもします。湯船にゆっくり浸かるのも良いですが、私はサウナ派なんです(笑)。とにかくサウナで汗を流すのが爽快で、3セットは欠かせないですね。


最後に会社の「これから」について教えてください

単純に会社を大きくすることを目的とはしていません。それよりも、たとえ厳しい時代であっても会社の理念である「選ばれる薬局」として、頼られる存在でありたいですね。会社も、はたらく人も、お取引先も、お客様も、お医者さまも、イントロンに関わった全ての人々が幸せになってもらえるような会社をつくりたいと願っています。そして、私と一緒にはたらく社員にはしっかりついてきて欲しいですし、お互いに信頼し合える関係を持続するのが私の責任だと心に誓っています。
会社を大きくする工夫よりも、その利益をいかに社員の人生に活かしていくかを考えることの方がはるかに重要で難しいことなんです。イントロンは5年後に年商100億を目指します。会社を発展させることが社員の幸せに繋がると信じて、私はこれからも走り続けます。
一人ひとり、私が面接して採用した社員には、その仕事を全うできるように寄り添っていくつもりです。人生にはさまざまなシーンがあります。出産した後でも元通りの仕事につけるような仕組みも用意してありますし、社員の状況に合わせてさまざまなはたらき方を受け入れて、ずっと一緒に歩んでいきたいですね!